RHINOSHIELDは「Star Wars Celebration 2023」への出展機会を得て、オンラインとイベント会場の両方で、世界中のファンと接点を持つことになりました。
一般的なキャンペーンページを制作するのではなく、イベントへの期待感を高め、メール登録を促し、RHINOSHIELDの既存のStar Warsコラボ商品へとユーザーを誘導する、インタラクティブな体験を設計しました。
しかしプロジェクトの途中で、最初のコンセプトがライセンス審査で却下されました。公開まで残された時間が限られる中、当初のエンゲージメント戦略を維持しながら、実現方法そのものを再検討する必要がありました。
プロダクトオーナー / UXデザイナー
UXデザイナー / UIデザイナー / 開発者 2名 / ライセンスチーム / PRチーム
2023年2月〜3月(6週間)
Disneyの監修に最大14営業日
キャンペーンページ + イベント / POS体験の設計・構築
イベント参加 → メール登録 → 商品認知
RHINOSHIELDは、2年に一度開催される世界最大級のStar Warsファンイベント「Star Wars Celebration 2023」に参加する機会を得ました。会場では新しいユーザーと直接接点を持つことができますが、私はこの体験をオンラインにも広げられると考えました。
キャンペーンページを単なるイベント告知として使うのではなく、ユーザーを次の流れへと導く体験を目指しました。
興味喚起 → 参加 → メール登録 → 商品認知
機能要件自体はシンプルでした:
開催予定のイベントを告知する
メール登録を促す
既存のStar Warsコラボ商品へ誘導する
デザインのポイントは、この一連のプロセスそのものを、ユーザーが楽しめる体験にすることでした。
私はキャンペーン全体の体験設計に加え、IT側の担当として、実現に向けた各チームとの調整も担当しました。
主な担当内容:
デジタル上のインタラクションコンセプトの策定
キャンペーン全体のユーザージャーニー設計
PRチーム・ライセンスチームとの連携
Disneyのライセンス要件を踏まえた設計
開発・実装のサポート
イベント会場におけるPOS体験の設計・準備
プロジェクト期間が短く、さらにDisneyの監修・承認が大きな前提条件となっていたため、デザイン上の判断では、理想的な体験と実現リスクのバランスを取ることが重要でした。
最初のコンセプトでは、ユーザーを単なる閲覧者ではなく、体験の「参加者」にすることを軸に設計しました。
一般的なキャンペーンページをスクロールするだけではなく、ユーザー自身が新人エージェントとして体験に入り、宇宙探索のワクワク感を取り入れたストーリーを進んでいく構成にしました。
その体験を通して、ユーザーを段階的に次の行動へと導きました。
イベントについて知る
キャンペーンを体験する
他の人を誘って参加してもらう
最終的にRHINOSHIELDのStar Warsコラボ商品を知る
目指したのは、ページを単なる広告にすることではありません。
ユーザー自身が、私たちと一緒にこの旅に参加していると感じられる体験をつくることでした。

最初のコンセプトではDisneyのデザイン素材を使用しており、監修・承認には最大14日間を要しました。
私が目指したのは、コンバージョンそのものをストーリーの一部にすることでした。ページ下部に一般的なメールアドレス入力欄を置くのではなく、購読という行動そのものをキャンペーンの仕組みに組み込みました。
ユーザーは友人を招待して購読してもらうことで、キャンペーン全体の共通目標に貢献できる仕組みとしました。参加者が増えるほど、近日発売予定の「May the Fourth」限定スマートフォンケースのデザイン公開が早まる設計です。
これにより、メールアドレスの獲得というビジネス目標と、ユーザーが参加する理由を結びつけました。購読を体験の途中で発生する「中断」ではなく、キャンペーン体験そのものの一部として感じられるように設計しました。

「コンバージョンは、体験の外に置くのではなく、体験そのものに組み込むことで、より効果的になる。」
プロジェクトの制作期間は、約1.5か月と非常に限られていました。一方で、Disney Auditによる審査には最長14営業日かかるため、大きな修正を行うたびにスケジュール上のリスクが発生する状況でした。
最初のコンセプトを完成させ、ライセンス審査に提出しましたが、提案は承認されませんでした。ビジュアルが一般的な「スター・ウォーズ風」のSF表現に寄りすぎていたことに加え、RHINOSHIELD独自のストーリーの中にスター・ウォーズの世界観を組み込むことについても、Disney側から懸念が示されました。
つまり、問題は単にビジュアル表現だけではなく、2つのブランドの関係性をどう位置づけるかという点にもありました。そのため、スター・ウォーズをベースに新たな物語をつくることなく、当初目指していた「ユーザーが参加している感覚」をどう維持するかを再検討する必要がありました。
残された時間はわずかで、全面的な再設計を行い、再び長い承認プロセスを経ることは、ローンチそのものを危険にさらす可能性がありました。

Disneyの審査で却下された、スター・ウォーズの素材を使用した初期案
この却下をきっかけに、私たちは「何がこの体験を魅力的にしていたのか」と、「何が承認上のリスクになっていたのか」を切り分けて考える必要がありました。
ビジュアル表現は変更できますが、体験を成立させるインタラクションの仕組みまで捨てる必要はありません。
そこで、アイデア全体をゼロから作り直すのではなく、よりシンプルな問いからプロジェクトを捉え直しました。
ライセンス上のリスクを高めるビジュアル表現に頼らず、元の体験のどの部分を残すことができるか?
2つ目の方向性では、より明確にRHINOSHIELD独自の体験として再構築しました。
スター・ウォーズの世界観をビジュアルで再現するのではなく、ユーザーにどのような行動をしてほしいのか、その本質にフォーカスしました。
探索する
参加する
選択する
リワード獲得のチャンスを得る
商品の発見へと進む
これにより、新たに承認が必要なライセンス素材への依存を減らしながら、キャンペーン本来の目的を維持することができました。
コンセプトの本質は「Star Warsらしいものをつくる」ことではなく、「ユーザーを傍観者ではなく、参加者にする」ことでした。

2回目のアプローチによって、却下されたプロジェクトを立て直すことができました。

このプロジェクトは、キャンペーンページだけで完結するものではありませんでした。Star Wars Celebrationの会場では、POSの導入・運用サポートやブースでの商品展示を含む、リアルな販売体験の構築も必要でした。
デジタルキャンペーンとリアルイベントは、それぞれ異なる環境でありながら、同じカスタマージャーニーの異なる接点として設計しました。
Star Wars Celebrationは、RHINOSHIELDにとって初めての海外リテールイベントでした。そのため、海外イベントでPOS環境を構築・運用するための確立されたプロセスがまだありませんでした。
私の役割の一つは、POSシステムが実際の現場でどのように機能するのかを理解し、通常とは異なる環境で運用するために必要な手順を整理することでした。さらに、イベント終了後もそのノウハウが失われないよう、セットアップと運用方法をドキュメント化しました。
目標は、Star Wars Celebrationのブースを成功させることだけではありませんでした。今後、同様の海外リテールイベントを実施する際に、他のチームでも再利用できる再現可能な仕組みとリファレンスを残すことを目指しました。
その後、私が作成したドキュメントは、さらに2つのイベントを実施する際の重要なリファレンスとして活用されました:2023年フランスでのF1世界選手権イベントと2025年大阪・関西万博です。

セットアップ手順を説明するため、自ら動画ガイドを作成
最も重要な成果は、プロジェクト後半で最初のコンセプトが却下されたにもかかわらず、Star Wars Celebrationの開催に間に合わせて予定どおりローンチできたことです。
最終的な体験では、当初の「ユーザーの参加を促す」という目的を維持しながら、ライセンス上のリスクを抑え、限られた期間の中で実装もよりシンプルなものにしました。
4日間のイベントで、以下の成果を達成しました:
売上 £44,000
オンライン注文 996件
Instagramで 10万回以上のインプレッション
メール購読登録 3,400件
振り返りの前に、実際のイベントの様子をご覧ください。
このプロジェクトを通して、体験をデザインするということは、ユーザーが画面上で目にするものだけを設計することではないと学びました。その体験を成り立たせているシステム、制約、そして実際の運用まで理解することも、デザインの一部だと考えています。
最初のキャンペーンコンセプトが却下されたことで、アイデアの本質と、その表現方法を切り分けて考えることの重要性を学びました。ビジュアルの方向性は変わりましたが、「ユーザーをただ見る人ではなく、参加者にする」という目的は変わりませんでした。この経験から、目的を失うことなく、状況に応じてアイデアを柔軟に変えていくことができるようになりました。
同時に、RHINOSHIELD初の海外リテールイベントをサポートしたことで、デジタル体験の枠を超えた経験も得ることができました。POSのセットアップ方法を理解し、それまで存在していなかったプロセスを整理・ドキュメント化し、今後のチームでも再利用できる形にする必要がありました。
そのドキュメントが後に別の海外イベントでも活用されたことで、もう一つ大切なことを学びました。
良いソリューションとは、一度うまく機能するだけではなく、次の挑戦に向けて組織に「仕組み」を残すものだと思います。